🌐 メタCという世界は・・・
メタCは、VRゴーグルやパソコン、スマホから自由にアクセスできる仮想空間だ。ユーザーは自分だけのアバターを作り、3Dワールドで他のユーザーと交流できる。
登録ユーザー数は約10万人。週末には2万人が同時接続し、それぞれの「居場所」を楽しんでいる。音楽ライブ、アート展示、勉強会、そして何気ない雑談——。
このメタCで、一つの恋が始まり、一つの戦いが始まろうとしていた。
👨 山本慎也:エンジニア見習い
25歳、Web系スタートアップでフロントエンド開発を担当している。PythonやJavaScriptは得意だが、セキュリティに関しては「動けばOK」という意識で、対策は後回しにしがちだった。
休日はメタCで自作ワールドを公開するのが趣味。Unityで作った「夕暮れの海ワールド」は、静かで落ち着く雰囲気が好評だった。
でも、山本には重い過去があった。1年前まで交際していた結城との関係だ。
💔 別れた元恋人:結城

26歳、フリーランスのインフラエンジニア。技術力は高く、ネットワークやサーバー管理に精通している。
でも、彼女には「独占欲が強すぎる」という問題があった。
交際中、山本は毎日10回以上の連絡を求められた。
GPS追跡アプリのインストールを強要され、他の女性と会話することすら許されなかった。「私以外の誰とも話さないで」「私だけを見て」——束縛は日に日にエスカレートしていった。
山本は精神的に追い詰められ、ついに別れを切り出した。
「もう、無理なんだ。ごめん」
結城は激怒した。「裏切ったのね!絶対に許さない!」
それから半年、結城からの執拗なメッセージは続いていた。ブロックしても別のアカウントで接触してくる。
まるで、諦めるつもりがないかのように——。
💕 新しい出会い:美里(慎也のお砂糖)

別れから半年後、山本はメタCで一人の女性と出会った。
美里、27歳。大手IT企業でセキュリティエンジニアとして働いている。情報処理安全確保支援士の資格を持ち、「技術で人を守りたい」という信念を持つ女性だった。
二人が出会ったのは、山本の「夕暮れの海ワールド」だった。
「素敵なワールドですね。波の音がすごくリアル」
「ありがとうございます。音響にこだわったんです」
「また、波もリアルに表現するために、シェーダーから自作したんです」
何気ない会話から、二人は次第に仲良くなっていった。美里は優しく、聡明で、山本の話を否定せずに聞いてくれた。結城との辛い経験を打ち明けたときも、「大変だったね。でも、もう大丈夫。一緒に乗り越えよう」と励ましてくれた。
お砂糖(=恋人)として交際を始めて3ヶ月。山本は「この人となら、幸せになれる」と感じていた。
⚠️ 危険の予兆
ある日、山本のスマホに通知が届いた。
【結城】「新しい女ができたんだってね」
山本の背筋が凍りついた。美里との交際は、メタC内でも慎重にしていたはずだ。どうして結城が知っている?
【結城】「美里、27歳、セキュリティエンジニアだって?笑えるわね」
【結城】「私のこと、忘れたとは言わせないよ」
メッセージは続いた。
【結城】「山本は私のもの。あの女にも、メタCにも、邪魔はさせない」
山本は震える手で美里に電話をかけた。
「美里、大変なんだ。結城が…」
「落ち着いて。詳しく聞かせて」
美里は冷静だった。メッセージのスクリーンショットを見て、すぐに状況を理解した。
「これは、ストーカー行為だね。それに、私の個人情報をどうやって調べたんだろう…」
「美里。君まで巻き込んでしまって…」
「大丈夫。私はセキュリティが専門だから。一緒に対策しよう」
美里の声は、どこまでも優しかった。
「これから、セキュリティについて教えるね。難しい言葉もあるけど、分かりやすく説明するから」
「ありがとう…」
「それに、もし事態が大きくなったら、メタCのセキュリティスタッフに相談できるよ。佐藤さんって人がいるの。頼りになる人だから」
🛡️ 佐藤:メタCのセキュリティスタッフ
35歳、メタCのCSIRT(緊急対応チーム)責任者。豊富なインシデント対応経験を持つ。
「VRの世界を安全にしたい」という夢を持ち、メタCのセキュリティ体制を築き上げてきた。冷静沈着で、どんな緊急事態でも的確に対応する。
後日、山本と美里は佐藤に相談することになるが、それはまた別の話——。
📖 この物語について
これから始まる物語は、情報処理安全確保支援士試験のセキュリティ用語を学ぶための学習教材です。
筆者も勉強中のため、間違えは多数あるかもしれません。
📚 物語の使い方
1. 各話は独立しています
好きな順番で読めます。参考書の学習順に合わせて読むのがおすすめです。
2. 噛み砕いた説明
専門用語は「身近な例え」で説明します。マンション、学校、LINEなど、日常生活に置き換えて理解できます。
3. 専門用語のまとめ
各話の最後に、物語で出てきた専門用語をまとめます。復習にお使いください。
⚔️ 結城との戦い
結城は、山本、美里、そして「二人を引き合わせたメタC」の3つに敵意を持っています。
彼女の攻撃は、個人への嫌がらせから始まり、やがてメタC全体を巻き込むサイバーテロへとエスカレートしていきます。
山本と美里は、結城の攻撃を防ぎながら、セキュリティ技術を学んでいきます。そして、あなたも一緒に——。
🎯 物語のゴール
- セキュリティ用語を「使える知識」にする
- 「なぜ必要か」を実感する
- 試験に合格する