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Unity 2021からUnity 6へ:Clusterクリエイター向けの移行ガイド

  • 2025年11月29日
  • cluster
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こちらは、「Cluster #1 Advent Calendar 2025」4日目の記事です。

開発環境がUnity 6にアップデートされたことにより、たくさんの新機能とパフォーマンス改善が追加されました。

Clusterでワールド制作をしている方の中には、「移行は大変そう」「互換性は大丈夫?」と不安に思っている方もいるかもしれません。

しかし、実際に移行してみた結果、思ったよりもスムーズに移行できました

この記事では、Unity 2021からUnity 6への主な違いと、実際の移行体験をClusterクリエイター目線でまとめます。

移行の難易度:意外と簡単だった

移行にかかった時間

Unity 2021からUnity 6への移行は、思ったほど時間がかかりませんでした

新しいUnity6プロジェクトを作成して、アセットをコピーして、必要な設定を確認するだけで、ほぼそのまま動作します。

特別な対応は不要

特筆すべき点として、Unity 6への特別な対応はほとんど必要ありませんでした

これは、Clusterでの制作がC#(プログラミング言語)でのプログラミングよりも、見た目の調整やオブジェクト配置が中心だからかもしれません。

C#で複雑なプログラムを書いている場合は多少の調整が必要かもしれませんが、一般的なワールド制作であれば、大きな変更なく移行できるでしょう。

そもそも、C#で自作したコードは、Cluster側で無効化されてしまいますし(笑)

Unity 6の主要な新機能

Unity 6にはたくさんの新機能が追加されていますが、Clusterでの利用可能性によって分類すると、以下のようになります。


【現在Clusterで利用可能な機能】

1. Spline機能(曲線配置ツール)

Unity 6にはSpline機能が追加され、曲線的な整列や配置が非常に便利になりました。

Clusterでの活用例:

  • 道路や柵などの曲線配置
  • オブジェクトを曲線に沿って等間隔に配置
  • カーブを描く装飾の作成

■使用方法について

Package Managerの「Unity Registry」から「Splines」を追加します。

その後、Hierarchyで右クリックから「Splines」が利用できます。


■注意点

Splineの「Instantiate」機能でオブジェクトを設置しただけでは、clusterにアップロードしたときに、オブジェクトが表示されません。

clusterで表示させるには、Spline Instantiateで「Bake Instances」でオブジェクトを反映させる必要があります。

以下が、参考画像です。

 

2. Shader Graphの不具合修正

Unity 2021で発生していたcutoutが無視されて、透明部分が黒くなるShader Graphの不具合がUnity 6で修正されています。これまで回避策(詳細は、下記の記事)を使っていた方にとっては、大きなメリットです。

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3. AI機能の統合

Unity Muse(ユニティ・ミューズ)
  • 文字で説明するだけで、テクスチャ(材質の画像)やスプライト(2D画像)を自動生成
  • アニメーションを作成できる(現時点では、ヒューマロイドのみ)
  • Muse Chat:Unityの使い方を教えてくれるAIアシスタント
  • アセット制作時間の短縮に役立つ

 

AIについては、先日、行われた「Unity AI完全に理解した」勉強会が大変役立ちました。

どんなAIがあるのかザックリ知るには、良かったです。

勉強会の動画があったので、共有しておきますね(動画の再生位置は、とくに役だったところからピックアップしています)。

 

Clusterでの活用例:
テクスチャ制作やプロトタイプ(試作品)作成の時間短縮に役立ちます。

無料で使える?:

2025/11/21現在、AIはまだベータ提供のため無料で利用できます。

正式リリースになったら、有料になるようです。

 


【ClusterがURPに対応後、利用可能になる可能性がある機能】

現在ClusterはBuilt-in Render Pipeline(ビルトイン・レンダー・パイプライン:標準の描画システム)を使用していますが、将来的にURP(Universal Render Pipeline:新しい描画システム)にも対応する予定とのことです。

URP対応後は、以下の機能が利用可能になる可能性があります。

1. パフォーマンスの大幅向上

GPU Resident Drawer(GPUレジデント・ドロワー)
  • CPU(パソコンの頭脳)の負荷を最大50%削減
  • 大規模なシーンで多数のオブジェクトを効率的に描画
  • 草、木、建物などの環境オブジェクトが多いワールドで特に効果的
GPU Occlusion Culling(GPUオクルージョン・カリング)
  • 見えないオブジェクトを自動的に描画しないようにする
  • 描画負荷をさらに削減

⚠️ 制限事項:
GPU Resident DrawerとGPU Occlusion CullingはURPでのみ使用可能で、Built-in Render Pipelineでは使えません

Clusterでの活用例(URP対応後):
大規模なオープンワールドや、多数の装飾オブジェクトを配置したワールドで、パフォーマンスが大幅に改善される可能性があります。

※ただし、Cluster側での使用許可が必要かもしれません。

2. ライティングシステムの革新

Adaptive Probe Volumes / APV(アダプティブ・プローブ・ボリューム)
  • Light Probes(ライトプローブ:光の情報を記録する点)の配置が自動化
  • 手動での配置作業が不要に
  • ピクセル単位(画面の細かい点ごと)でライティングを計算するため、動くオブジェクトの照明品質が向上
  • オブジェクトが密集したエリアでは密に、疎なエリアでは少なくプローブを配置する賢い仕組み

⚠️ 制限事項:
Adaptive Probe VolumesもURPまたはHDRP(High Definition Render Pipeline:超高品質な描画システム)でのみ使用可能で、Built-in Render Pipelineでは使えません

Clusterでの活用例(URP対応後):

  • VRMアバターなどの動的オブジェクト(動くもの)の照明がより自然に
  • ライトベイク(光の焼き込み作業)の作業時間を大幅に短縮
  • 複雑な照明環境でも高品質な間接光(壁などに反射した光)を実現

【Clusterでは利用できない可能性が高い機能】

マルチプレイヤー開発の強化

Multiplayer Center(マルチプレイヤー・センター)
  • エディター内でマルチプレイヤー機能(複数人で遊べる機能)のセットアップが可能
  • テストがより簡単に
Multiplayer Play Mode(マルチプレイヤー・プレイモード)
  • Unity Editor内で直接マルチプレイヤー機能をテスト可能

⚠️ 重要:
これらのマルチプレイヤー機能は、Cluster独自のマルチプレイヤーシステムとは別のものです。Clusterではcluster独自のネットワーク機能を使用するため、これらのUnity 6マルチプレイヤー機能はClusterでは利用できない可能性が高いです。

独自のマルチプレイヤーゲームを開発する場合には有用ですが、Clusterワールド制作においては直接的なメリットはありません。

Unity 6移行のメリット・デメリット

メリット

  • 移行が簡単 – 特別な対応がほとんど不要
  • Shader Graphの不具合修正 – 2021で困っていた問題が解決
  • Spline機能 – 曲線配置が便利に
  • AI機能 – テクスチャ生成などで制作時間短縮
  • 将来への準備 – ClusterのURP対応に備えられる

デメリット・注意点

  • ⚠️ 多くの目玉機能が現時点では使えない – GPU Resident Drawer、GPU Occlusion Culling、Adaptive Probe VolumesはBuilt-in Render Pipelineでは利用不可
  • ⚠️ 学習コスト – 新機能を使いこなすには多少の学習が必要
  • ⚠️ マルチプレイヤー機能は利用不可の可能性 – Cluster独自システムとは別物
  • ⚠️ GPUライトベイクの仕様変更 – こちらについては、以下の私のXへの投稿をご確認下さい。

移行の推奨タイミング

すぐに移行を検討すべき人

  • 新しいプロジェクトを始める方
  • Shader Graphの不具合に悩んでいた方
  • Spline機能を使った曲線配置をしたい方
  • AI機能でアセット制作を効率化したい方
  • ClusterのURP対応に備えて準備したい方

様子見でも良い人

  • 既存プロジェクトが順調に進んでいる方
  • リリース直前のプロジェクトを抱えている方
  • Unity 2021で特に問題を感じていない方
  • GPU Resident DrawerやAPVなどの新機能を今すぐ使いたい方(URP対応待ちのため)

移行の手順(簡易版)

重要:既存プロジェクトを直接アップグレードするのではなく、新規プロジェクトを作成する方法を推奨します。

  1. Unity 6で新しいプロジェクトを作成
    • Unity Hubから Unity 6をインストール
    • 新規プロジェクトを作成
  2. アセット類を手動でコピー
    • Unity 2021で作成していたアセット類をUnity 6側に手動でコピー
    • Scenes、Materials、Prefabs、Texturesなど必要なものを移行
  3. CCK(Cluster Creator Kit)のインストール
    • Unity 6対応のCluster Creator Kitをインストール
  4. 動作確認
    • シーン(場面)を開いて動作確認
    • 各種コンポーネント(部品)が正常に動作するかチェック

この方法のメリットは?

この手順の最大の利点は、万が一Unity 6側で問題が起きても、Unity 2021側でワールドのアップロードが可能という点です。

 

⚠️ 重要な注意点:
Unity 2021側のCCKはアップデートしないでください。アップデートしてしまうと、2021側でのアップロードができなくなる可能性があります。

これにより、Unity 6での問題を解決している間も、Unity 2021側で継続してワールドを更新できる安全な移行が可能です。

まとめ

Unity 6への移行は、想像以上にスムーズでした。特別な対応がほとんど必要なく、多くの新機能とパフォーマンス改善の恩恵を受けられます。

特にClusterクリエイターにとって嬉しいのは:

  • 移行が簡単だったこと
  • Shader Graphの不具合が修正されたこと
  • Spline機能で曲線配置が便利になったこと
  • AI機能でアセット制作を効率化できること
  • 将来的にGPU Resident DrawerやAdaptive Probe Volumesなどの強力な機能が使える可能性があること

新しいプロジェクトを始める方はもちろん、既存プロジェクトでパフォーマンスやライティングに課題を感じている方、そしてClusterの将来的なURP対応に備えたい方は、Unity 6への移行を検討してみてはいかがでしょうか。


参考情報: